2000年に地元の自治会館を建て替えた時に旧自治会館の中にあった書類等は箱詰めにされて、その後十数年間自治会館横の物置の中に眠っていました。
これも今のうちに仕分けして捨てるものは捨てようと、この荷物を家に持ち込みこの仕分け作業を2月頃より少しずつ進めてきました。
この中に「庚申塔建立の縁起」と題された書物がありました。
中を見てみると庚申の年に当たっていた昭和55年(1980)に庚申塔を建立した時の経緯を記録した書類でした。
庚申塔は60年に一度巡ってくる庚申の年に庚申塔や庚申塚を建てるという慣習みたいなもので、これまでの街道歩きでも庚申塔はかなりの数見てきました。
中には文字ではなく庚申信仰の神である「青面金剛像」を彫ったものもありました。秋に行われる「お日待ち」の祭りも「日(太陽)を待つ」という事で元々は庚申信仰そのものだったのだと思います。
さて、この庚申という年、以前から「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸 」と10ある10干と呼ばれるものと、12ある「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12支との組み合わせと聞いてきました。
これまではこれで「なるほど!」と納得してきたのですが、よく考えてみると10種類X12種類=120 となってしまいます。
改めての
「あれ?」
です。
なぜ、この組み合わせが60種類になってしまうのだ?
還暦だって60年で暦が一周するから還暦なのだから......。
これ、ようやく分かりました。
干の方は
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸・甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸......と10種類が繰り返し続いていきます。
これに対し
12支の方は
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
と12種類が繰り返します。
これまで勘違いしていたのは一つの干に対してそれぞれ12支が組み合わされると思っていたことでした。これなら120種類になり還暦も120年になってしまいます。
こうなると還暦を迎えられる人なんて殆ど居なくなります。かつての金さん、銀さんも還暦は迎えられなかった事になってしまいます。
どういうこと?
本当の10干と12支の組み合わせは次のようなものになります。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸・甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・子・丑・寅・卯・辰・巳・午
この上段の10干と下段の12支の組み合わせになっていくわけです。
具体的には、甲子・乙丑・丙寅・丁卯・・・・・・癸酉と、ここまで行くと10干は元の甲に戻りますが支の方はまだ二つ残っています。甲戌・乙子と続いて行くことになり、10種類と12種類なので2つづつづれていきます。
こうした事から60個までいくと元の甲子に戻り、これが暦の一周回った還暦と言うことになるようです。
歴史上の事件もこうした組み合わせで呼ばれることが多く、思いついただけでも、乙巳の変、壬申の乱、戊辰戦争、等等があります。
ようやくスッキリしました。
次の庚申の年は22年後の2040年。果たしてこの年にも地区住民が纏まって庚申塔を建てようとするのかどうか?。自分はとてもここまで生きている自信はありませんです。
片方が10でもう一方が12なんだから、2つづつのズレが元に戻るのは最小公倍数の60って事になるのかな。
60は、10と12の最小公倍数、ってことなんですね。