2025年4月9日
四国遍路旅も2日目です。車中泊では起床時間が早くなり1日の行動時間もかなり長くなります。この日も朝5時には起床。顔を洗って車内の整理をして出発出来るようになりましたが59番国分寺までは数分で到着してしまいます。このまま出発してしまったら納経所が開くまで寺の駐車場で2時間ほど待つ事になってしまいます。
そうかといって何もないこの道の駅にいても仕方ありません。早く行って寺の境内の散策でもしていればいいだろうと早々と2日目の始動です。
国分寺までは僅かな距離しかありません。
ここを昨日のうちにクリヤーしておけば、朝早く出て、1時間ほど掛かる横峰寺に行く事も出来たはず。
残念!
目次
四国霊場第59番 国分寺
途中のコンビニで朝食を仕入れて国分寺駐車場に到着です。コンビニで仕入れたサンドイッチで朝食を済ませて、まずは境内まで上がってみました。国分寺は聖武天皇の勅願で行基が創建と伝えられていますからかなり古い歴史を持つ霊場ですが現在の本堂は1700年代に建てられたもので、それ程古いものではありません。
旧境内の全域が四国で唯一の国の特別史蹟となっており、中心部には創建当時の本堂の礎石33個が点々と配置されていて、これは現在の唐招提寺の金堂に匹敵する規模といいますからかつてはかなり大きな勢力を持っていたお寺のようです。

1時間ほど待つと納経所も開きました。早速2日目最初の御朱印を頂き、次の60番に向かおうと思いますが、地図を見てみると、山の上にある60番横峰寺に向かう前に61番から63番までを先に済ませた方が良さそうです。
ということで山に登る前に61番 香園寺に向かいます。59番で今治市の札所は終わり、61番札所は西条市に入ります。
少し距離があるので一般道では掛かってしまいそうなので今治湯ノ浦温泉インターから「今治小松自動車道」に入り、10分ほど走って「いよ小松北IC」で降りれば61番香園寺はすぐそこにありました。
四国霊場第61番 香園寺
車を駐車場に入れて、境内に向かいますが、お寺の建物らしきものは何も見あたりません。
境内を進むと突然、鉄筋コンクリート造りの大きな建物が現れました。
これが香園寺?。
洒落た近代的な作りの建物でとてもお寺には見えません。でもどうやらこれが香園寺本堂のようです。綺麗な建物ですが昭和51年に建てられたと言いますから、そろそろ50年経とうとしている建物です。本堂と大師堂が別れている訳ではなく2階が両方を兼ねているようでした。正面に入り口はなく、横から階段を登り、ようやく本堂内に入りました。何とも広い本堂で、金色ばかりの須弥壇廻りです。
本堂を建てるにはかなりの建築費が掛かったと思いますが、檀家の皆さんが出したのでしょうか。
これで今日二つ目の御朱印を頂き、次の宝寿寺に向かいます。
第62番霊場 天養山 宝寿寺

何故か宝寿寺の写真が一枚もありませんでした。
それほどに特徴が無かったのでしょうか。四国遍路には一時期「宝寿寺問題」というものがありました。
これは宝寿寺と「四国八十八ヶ所霊場会」との間のトラブルで、2010年代に起こり2019年までは宝寿寺が八十八ヶ所霊場を抜けてしまっていました。そのためにプレハブの納経所(遙拝所)を61番香園寺の駐車場に設置してこちらでお遍路さんへの対応をしていたようです。現在は住職は変わりましたが以前と同じように戻ったとの事でした。
四国遍路は八十八ヶ所が揃ってこそ意味のあるものになるのでしょうから、一寺だけでも欠けてしまったら大変な事なのでしょう。それでも、元に戻って良かったです。
四国霊場第63番 密教山胎蔵院 吉祥寺
この吉祥寺は駐車場に車を入れ、寺の山門までは覚えているのですが、境内に入ってからの記憶が飛んでしまっています。
ここで徳島から一人で廻っている綺麗な若い奥さんに会いました。以前簡単な所だけ廻って、今回はその時に行けなかった札所を廻っているのだとか。
数日掛けて廻っているらしく、今日で徳島に帰るようです。軽自動車なのですが、ナンバーを見るとナント88。
話を聞いたら四国の88に合わせたのではなく、娘さんの誕生日が8月8日なのでその番号を選んだのだそうです。誕生日にしても88になったのが凄いです。
この奥さんとはここから何カ所かで一緒になりました。
吉祥寺の本尊は毘沙門天(多聞天)で、本尊を毘沙聞天とする札所は吉祥寺だけです。毘沙門天の奥方は吉祥天になので、奥方の名前が寺号になったようです。
寺宝に「マリア観音像」があります。高さが30cmほど、純白の美しい高麗焼の像といい、この伝来の由縁が興味深い話なのです。
言い伝えによれば、土佐沖で難破したイスパニア船の船長が、長宗我部元親に贈ったもので、元親はマリア像とは知らず、吉祥天のように美しい観音像として代々伝えられ、徳川幕府のキリスト教禁令にも難を逃れたといいます。
いざ、横峰寺へ
63番まで済んだので、ここから横峰寺に向かいます。
横峰寺への参道は有料道路になっていて、通行料は2000円。安くはないです。
麓から専用のバスが出ていて、これは往復で1800円。ならばバスで行った方が良さそうなので、車は下に置いてバスで行こうと決めていました。
このバスの発着場までは40分ほどで到着しました。バスの受付事務所に行って話を聞くと、客が集まるまで出発する気は無いようです。ネットで調べた時には、一人でも出発してくれるような話だったのですが、どうも話が違います。
仕方ないので、車で行く事にしました。

細い道が8Km程続くようで、対向車が来ないことを祈りながら山道に突入です。
少し登ったところに料金所があり2000円を支払いました。この参道を整備するにもかなりのお金が必要なのでしょうから、これくらいの通行料は仕方ないでしょう。
料金所からは約6Kmと聞きました。途中で伐採した木を運ぶトラックに遇ったものの、その後は山頂の駐車場まで車に遇うことも無く進むことが出来ました。
四国霊場第60番 番石鈇山福智院 横峰寺

駐車場に到着しましたが、横峰寺境内までは山道を800m程下っていかなくてはなりません。下りということは帰りは登りになりますから、下り道といっても簡単には喜べません。
こうした事情から横峰寺は四国88霊場の中でも駐車場から本堂まで遠い寺、ベスト3にランクインされているほどです。歩き遍路なら山門を潜って、先に本堂前に出るのですが、駐車場から来ると逆方向なので、先に大師堂の前に出てしまいます。車で行った場合の正式なお参りなら、まずは本堂、そして戻って大師堂、また本堂の方に戻り石段を下りて納経所、という順番になり、あっちへ行ったりこっちへ来たりで、最後の納経所から駐車場までの帰り道は上り坂になりますから結構大変な札所です。

ここでまた先ほどの徳島の奥さんに会いました。
やっと本堂での参詣を済ませて御朱印を頂こうとしても、納経所はまた数十段の石段を下らなくてはなりませんでした。この納経所の先に横峰寺の立派な山門があったようです。歩き遍路の人達は登ってきてこの山門を潜って境内に入るのでしょう。しかし、駐車場から来ると反対側になってしまうようで、見落としてしまう人達も多いようでした。

車への戻り道は当然上り坂です。朝サンドイッチを食べただけでエネルギー不足なのか息が上がって何度も休みながらようやく駐車場に戻ってきました。
ここからまた上がってきた細い道を下っていかなくてはなりません。麓に下りるまで対向車が来なければ良いのですが......
上手い具合に前を行くのは、あの徳島の奥さんの車でした。しかしノンビリあとに着いていけばいいと思っていたらこの奥さん、狭い山道をスイスイと見事な運転です。このあとまた会ったので、運転の事を話したら、住んでいるのが徳島の21番太龍寺の近くの山の中なので山道には慣れているとのことでした。
それにしても速かったです。
四国霊場第64番 石鈇山金色院 前神寺

下りきったところで彼女とは別れ、朝廻ってきた63番からの続き、64番前神寺に向かいます。少し西に戻る形になりますが、距離的には僅かな距離なので、横峰寺から30分ほどで到着しました。
前神寺は山岳信仰の山として崇拝される日本七霊山の一つである石鎚山の麓の霊場で、真言宗石鈇派の総本山であり、修験道の根本道場となっています。
境内に上がるとずっと向こうに立派な本堂が建っています。
昼飯は豪華に「ハマグリ釜飯と海鮮御前」
今回は美味しい物を食べながらノンビリ廻ろうと思って出掛けてきましたが、ここまではそんな余裕もなくコンビニ弁当で済ませてきました。
しかし、2日目になれば少しは気持ちのゆとりも出てきて何か美味しい物も食べたいです。前神寺を出て東に走っていたらなんとなく高級そうな和風レストランがありました。時間も丁度昼飯時。迷わずここに入りました。
注文したのはハマグリ釜飯と海鮮御前。これは美味しかったです。
腹が膨れたところで、次の65番
三角寺に向かいます。ここは距離が50Kmほどあるので、時間も掛かります。
松山自動車道に入り、観音寺市の手前にある三島川之江インターで降りれば地図の上では数キロしかなく近いのですが、山道を進み350mまで上がらなくてはならないので実際には30分以上掛かってようやく到着です。
四国霊場第65番 由霊山慈尊院 三角寺

駐車場の前にかなり幅広の石段が伸びています。石段を登ると左右に仁王像が安置された立派な山門がありましたが、ここの山門は鐘楼を兼ねていて真ん中に鐘がぶら下がっていました。


江戸時代の俳人・小林一茶が寛政7年(1795)に訪れたとき、「これでこそ 登りかひあり 山桜」と詠まれただけあり、ここは樹齢300〜400年の山桜の名所にもなっています。
訪れた時は境内の遅咲きの山桜がほぼ満開で綺麗でした。
境内にいるのは自分と若いカップルだけという静かな三角寺で少しだけノンビリ出来ました。
四国霊場第66番 巨鼇山千手院 雲辺寺
三角寺から雲辺寺までは距離にして25Km程、時間も1時間近く掛かってしまうようです。それに雲辺寺へはロープウェイを使うしかないようです。
時間も2時になろうとしていますから、今日はあと2ヶ所も廻れば時間切れになりそうです。高速道路を使うほどでもないようなので、一般道を行く事にして、ロープウェイの山麓駅を目指します。

1時間も掛からずにロープウェイの麓駅に到着です。このロープウェイは全長2600m、標高差660mを毎秒10mのスピードで駆け上がっていきます。
ロープウェイを降りて進むと道が左右に分かれる道を右に行くと雲辺寺山の山頂公園に行くようです。しかし今回は修行の身、こちらは無視して雲辺寺に向かいます。
参道途中に徳島県と香川県の県境を示す標識がありました。雲辺寺は香川県では最初の札所となっていますが、実際には徳島県に入るようです。
この先の参道脇には五百羅漢像が所狭しと並んでいて、一体一体みていくと中には面白い像もありました。
まだ真新しい仁王門があるので、これを潜って階段を登っていくと大師堂の前に出ました。ここから左方向に下っていくと本堂があるようですが、戻ってくるのも大変なので大師堂の方からお参りして本堂に向かうことにしました。

来れましたが、歩き遍路で標高900mを超える雲辺寺まで登ってくるのはさぞかし大変な事なのだろうと思います。
この雲辺寺の山号は「巨鼇山」。偶然にもこれは我が家の菩提寺でもある興津清見寺の山号とおなじでした。清見寺の山号の謂れは後ろの山が大きな亀に見えることから名付けられたといわれていますが、この雲辺寺の山号は空海がこの山に登った時、大きな亀を見たという故事にちなみつけられたようです。
御朱印を頂き時計を見たら急ぎ足で行けば次のロープウェイの出発に間に合いそうです。必死に坂道を上り何とか間にあいました。
次の67番大興寺まではそれ程時間は掛かりそうもありませんから、今日中にもう一ヶ所は何とか行けそうです。

四国霊場第67番 小松尾山不動光院 大興寺

今日の最後になる大興寺の近くまでナビの案内で来ましたが、どうも分かり難いのです。近くに居るのは分かりますが、さて駐車場は?山門は?
林の中の狭い道をそのまま進んでいったら、小さな山を一つ越えてしまったようで、そこに仁王門と駐車場がありました。ナビの設定は狭い道は回避するようにしてあるのですが、今通って来た道はかなり狭かったですから、他に広い道は無いのでしょう。
小さな水路に架かる橋を渡り、立派な山門から境内に入ります。この山門に納められている仁王像は鎌倉時代、運慶による作と伝えられていますが、これは伝の類いでしょう。
境内に上がるとまだサクラが咲いていて今年の春の遅さには感謝です。
ここで今日9つめの御朱印を頂き、今日はこれで打ち止めとしました。
出掛けてくる前に想像していたより、結構時間が掛かってしまっていて、2日目にしてようやく14ヶ所です。
四国の地図を見ると、愛媛から香川の札所は近いところに集まっていて、効率良く廻れるのではないかと思っていましたが、よくよく考えてみると四国の地図は4つの県が合わさっていて、実際には頭の中のイメージより遙かに広い範囲なのです。
実際、この日の朝からの移動距離もすでに140Kmほどになっていますから、そんなにスイスイと先に進めないのも当然の事でした。
大興寺を出発する前に、今日の風呂を探してみました。寛永通宝の砂型で知られる観音寺市に「琴弾回廊」という浴場があるようです。食事も出来るようなのでここにしようとナビにセットしてスタートです。
日帰り湯 琴弾回廊
大興寺からは10Km程度ですからラッシュに掛かっても30分もあれば到着出来そうです。しかし近くに行ってもなかなかそれらしき物が見つかりません。あちこち走り回ってようやく駐車場に入ることが出来ました。広い駐車場で車中泊も出来そうですが、残念な事に駐車場にトイレが見あたりません。車中泊で大事なのはやはり綺麗なトイレがある事が必須条件です。

取りあえず風呂に入り、レストランで食事を摂りながら宿泊地探しです。
レストランの席が海に面しているので、夕日が綺麗です。
道の駅を探しても良いところがありません。すぐ近くに道の駅があるようなのですが、実際に車で探してみてもそれらしい施設は見つかりませんでした。
どうやら道の駅は諦めた方が良さそうです。一番の候補は高松自動車道の高瀬PAが良さそうでした。ここからだと高松自動車道のさぬき豊中インターから入るのが一番の近道のようです。高速に入ってしまえば4Km程度でパーキングエリアに到着出来るようです。
今日の宿は「高松自動車道 高瀬パーキングエリア」
ナビ頼りにインターまで行き、高速に乗ってしまえば5分も掛からずにパーキングに到着しました。それ程大きくない駐車場ですが、それだけにトイレも遠くなく、車中泊には丁度良い感じのパーキングエリアで、これでようやく2日目の寝場所が確保できました。

毎日宿泊地に到着して、まずやるのはウィンドシェードを取り付けて外からの光が入らないようにすることです。今年は窓の形と微妙に違っていたシェードを出発前に車の窓にピッタリ合わせて加工したので、取付も簡単になり、夜中に剥がれることもなくなりました。車中泊にはカーテンなどの窓からの光対策が絶対に必要です。このウィンドシェードは外側はアルミ蒸着されているので、断熱効果もあるのかもしれません。
これをセットしてから、ベッド廻りを整理して、途中で仕入れてきたお酒を飲みながらの宴会の準備です。これらが完了すると、ようやく1日が終わったという気持ちになれます。
2日目の夜になると、気持ちの方も初日に比べれば落ち着いてきたようです。