四国遍路 3日目 18番恩山寺〜24番最御崎寺

四国遍路も3日目になりました。 朝起きた時、 何処?
思い出すまでに少し時間が要ります。
徳島市の眉山の山頂にいる事を思い出し、日の出を見てみようと再度歩いて山頂まで登ってみました。
しかし日の出はとっくに過ぎてしまっていて、徳島の街は既に陽が当たって春霞の中でした。今日も天気は良いようです。

いくら何でも起きるのが遅すぎました

トイレで顔を洗い、歯を磨き、車内を整理して3日目のスタートです。
まずは下山して、18番 恩山寺に向かいます。
徳島市内は朝のラッシュを迎えようとしている時間帯で、かなりの混雑していました。しかし、急ぐ旅でもないので、渋滞もさほど気にならないのが予定のない旅のいいところです。

18番 恩山寺

朝も早く静かです。

恩山寺までは約15キロ、40分程度で到着しました。今日も朝一番から山登りです。参道を鬱蒼とさせている木々もこの時期は新葉への替わり時で落葉が酷く、檀家の方なのでしょうか、参道の落ち葉を一生懸命掃いていました。
早朝からおそらく毎日の奉仕作業なのでしょう。遍路するだけのこちらから見れば頭の下がる思いです。
お疲れ様です。

弘法大師
空海の十大弟子

札所の紹介もしたいのですが、以前も書いたように同じような建物ばかり続くので記憶に残っておらず書きようがありません。それに各札所の説明は自分の説明より遙かに詳しく書かれているサイトがいくらでもあります。
今日のスタートも、いつものように、蝋燭を立て、線香を立て、般若心経を唱え、写経を納経し、納め札を納めるルーティーンを本堂と大師堂で行い、18番目の御朱印を頂き、18番恩山寺クリヤーです。

19番 立江寺

立江寺山門
本堂

19番の立江寺までは近く僅か5キロ程度です。 10分ほどで到着しました。
ここはボタンの名所としても知られているようです。
本堂は相変わらず特徴も無く、同じような形で、記憶はごちゃ混ぜ状態。7日間で53ヶ所物札所を廻ってきたのですから、その一つ一つの記憶が残っていないのも後期高齢者間近の頭では無理もない事です。
境内までの景色や雰囲気は写真を見ると何となく思い出せるものの、そこに建つ建物になるとさっぱりです。
と言う事で立江寺に関してかけるのはこの程度の事しかありません。

20番 鶴林寺

鶴林寺山門
大きな木に囲まれ鬱蒼としています

さて、次はキリのいい20番鶴林寺です。
ここは山の上にあるので、また狭い山道を登らなくてはなりません。鶴林寺は標高500メートル近くありますから、それなりに時間も掛かりそうです。カーナビによれば所要時間は30分程度になっていて、それ程ではありませんが、問題は山道になってからの道幅です。
これまでにも狭い道は通って来ましたが、この鶴林寺は標高が高いので、さてどんな道なのか?
立江寺から暫くは平地なので何の心配もない道が続きます。
そのうちに山道になり、かなりの急坂で一気に標高を上げて行きました。
心配した道幅は確かに狭いのですが、所々道幅が拡がるので、もし対向車があっても長距離のバックを強いられる事も無さそうでした。
駐車場に着くまでにも対向車はありましたが、運良く広い所だったので助かりました。
急坂を登り切ると突然駐車場に出ました。
数台の車が駐められていて、タクシーも見えます。四国遍路では、運転に自信がない場合は、車を置いて、タクシー利用するような指導がされているようです。
大きな杉木立で鬱蒼とした参道を鶴林寺に向かいます。
歩き遍路ではここまで自力で登って来るのですからやはり生半可な気持ちでは途中で挫折してしまうでしょう。

本堂へ最後の石段
山門裏側(境内側)

鶴林寺と言うだけに、寺の創建には鶴が関わっているようでした。
周りの景色を見るとかなり高いところにいる事が分かります。 参拝して下山。
運の良い事に下山中も厄介なところで車に遇う事もなく、無事に降りる事が出来ました。

太龍寺ロープウェイ

次は21番の太龍寺です。太龍寺へは狭い山道を登り直接車で行く方法と、もう一つは下からロープウェイで上がる方法の二つの選択肢があります。今回は一人旅でもあるので、安全第一でロープウェイでの参詣を選択しました。
ロープウェイは2600円(往復)と安くはありませんが、ここは安全を最優先すべきでしょう。
鶴林寺から下山し、太龍寺のロープウェイ乗り場までの道も広くはありませんが、それでも鶴林寺への登り道ほどでは有りません。所々二車線になる所もあり、これは余裕です。鶴林寺からは12Km程、30分も掛からずにロープウェイの乗り場のある道の駅「鷲の里」に到着しました。

太龍寺ロープウェイ「鷲の里駅」
那賀川と「道の駅 鷲の里」

麓駅の出発時間は毎時0時、20分、40分と20分間隔で動いているのでロープウェイの出発時間に合わせて忙しい思いをする事も無さそうです。早速ロープウェイに乗り込み太龍寺を目指します。このロープウェイの長さは2,775mで、これは西日本最長となっています。
ロープウェイからは北の山の上に先ほど参詣してきた鶴林寺の塔が見えていました。走ってきた時間より遙かに遠方にみえます。
このロープウェイが長いのも当然で、山の尾根を二つ越えて、最後は下りになっていました。

オオカミの群れが!

リアルに見える狼の群れ

途中の山の斜面にオオカミの群れが!
ロープウェイで尾根を越えていく山犬ヶ嶽には、今から1200年ほど前の平安時代に、たくさんの日本オオカミの群れが暮らしていたそうで、空海は、舎心ヶ嶽
岩上で百日間の修行中、
山々に響くオオカミの遠吠えを聞いたと伝わります。岩の上でロープウェイに向かって遠吠えしているオオカミの色が真っ黒なので、何やら迫力を感じます。

山の上に空海が!

岩の上で修行する空海

ロープウェイが二つ目の尾根を越えて下り始めたあたりの右斜面の岩の上には修行する空海の姿が見えました。
これは先に説明した百日間の修行中の姿なのでしょう。
まもなく、山上の太龍寺駅に到着です。

21番 太龍寺

ロープウェイの山上駅からまだ登らなくてはなりません
標高が高いので桜がまだ満開の状態です
立派な山門
3日目になると脚も疲れて石段が堪えます

寺の標高は500mほどのようですが、ここから本堂まではまだ歩いて登らなくてはなりません。太龍寺の境内は広く、本堂、大師堂、納経所が離れていますから、特別な所に行かず、普通の参詣ルートだけでもかなりの距離を歩かされます。その間に登る石段の数も一体何段だったのか?

離れた所にある大師堂

納経所で御朱印を頂き、ロープウェイの発着場に行くと、ギリギリで出発待ちの便に乗る事が出来ました。
このロープウェイの登る傾斜はスキーのジャンプ台の傾斜と同じとの説明でした。麓の駅に到着したら、そろそろ昼飯の時間です。道の駅に洒落た食事処があるのに、開店にはすこしまだ待たなくてはならないようです。急ぐ旅でもありませんが、今日は出来る事なら室戸まで進めたいのです。

道の駅「鷲の里」を出て暫く走ると道の駅「わじき」があったのでここで昼食にしました。入り口の看板にも「釜揚げうどん」が大きく書かれていたので、これを注文しました。道の駅の食事ですからそれ程期待はしていなかったのですが、これが「旨い!
絶妙の味付けです。
無料Wi-Fiが使えるようなので、Wi-Fiを使えるようにセットして、やるべき事済ませてやっとスッキリ。それ程大きなパケット契約はしてないので、Wi-Fiなしで派手にデータ通信するわけにはいきません。
さて、腹もふくれたところで、徳島県の最後の2ヶ所を目指します。まずは22番平等寺です。

22番 平等寺

平等寺境内。本堂と大師堂
大きなワラジと仁王像
大変な思いをして上がったのだろうが記憶が消えてる

道の駅から10分ほどで22番平等寺到着です。仁王門には左右に阿吽の仁王像と大きなわらじがありました。この巨大なわらじが置かれている仁王門は多く見ます。
寺の本堂は何とも特徴のない建物で、いま写真を見ながらでも、思い出せません。大師堂も参詣して、21個目の御朱印を頂き、徳島県最後の薬王寺に向かいます。

 

23番 薬王寺

日和佐の町を見下ろす「瑜祇塔」

薬王寺までは20Km弱、時間は30分も掛からずに到着しました。
実はこの薬王寺のある美波町には少々の縁があり、といっても自分自身の事で無く、何時も行っている床屋さんの奥さんがこの町から嫁いできているという浅い縁なのですが.....
これまでも髪の毛を切ってもらいながら、この町の事は散々と聞かされていたので興味津々の町だったのです。
薬王寺は大きなお寺です。下の国道からみても山の斜面の相当な面積を占めています。上に立つ瑜祇塔(ゆぎとう)の存在感が町を見下ろしているようです。最寄り駅は「日和佐」でこの地は吉川英治の「鳴門秘帖」の舞台ともなった所なのです。

一段ごとに賽銭の置かれた石段
山門

厄除けの寺として全国から参拝客が訪れる薬王寺は仁王門を潜ると、女厄坂、男厄坂、還暦厄坂と続きます。この石段の一段ごとに賽銭を置きながら上がっていくのがこの寺の習わしとなっているようですが、そんな事は知らない私は何も置かずに上がるのに必死です。
この石段の下には薬師本願経を一文字ずつ書いた小石が埋められているのだそうです。
途中には鳴門秘帖の舞台になったという碑まで建てられていました。
ここの本堂に刻まれた龍の彫刻は見事なものです。上にある瑜祇塔は今回はパスする事にしました。

薬王寺の建つ日和佐は吉川英治著「鳴門秘帖」の舞台にもなった地
本堂

これで徳島県内の札所は全て完了です。思っていた以上に時間が掛かってしまいました。

室戸へ!

室戸はまだこの先80キロ。途中で寄りたいところも何箇所かあるので少し先を急ぎます。

今日の風呂も宿泊場所もまだ見つけていません。 まずは室戸へ!
室戸岬までは景色のいい海岸線の道路が多くこれまでの山道とは違い解放感があります。午後は気持ちのいい観光ドライブ気分です。

むろと廃校水族館

室戸廃校水族館
手洗い場にも水を張って水棲生物が!
こちらはカサゴのようです。

室戸岬町近くに廃校を水族館にしてしまった、その名も「むろと廃校水族館」があります。
面白そうなのでこれは予定に入れてありました。特別に大きな改造はしていないようで、至る所に水を溜めて海の生き物が入れてあります。学校にある手洗い場にも水が張られ魚が泳いでいました。四国の東海岸は亀の産卵場所が多く、この水族館で飼われている亀もかなりの数になるようでした。これまでの旧街道歩きでも廃校跡は随分観てきましたが、こういった再利用もあるのか、と感心!

屋外のプールには亀や大型の魚が泳いでいます

御厨人窟(みくろど)

御厨人窟と間違えて寄ってしまった.巨大な大師像が立っている
空海も洞窟の中からこのような景色を見ていたのでしょう
隣にあるこの洞窟は空海が修行の場としていた場所といいます

室戸岬の手前には空海が修行したという洞窟「御厨人窟(みくろど)」があります。
ここは修行時住居として使われていたと伝えられています。
約1200年前の平安時代、青年時代の空海が悟りを開いたといわれる洞窟で中には五所神社とばれる社があります。「空海」と名前をつけたのも、ここから見える空と海に感銘を受けたからと伝わります。この横に主に修行の場として使われていたと伝えられる「神明窟」があります。

24番 最御崎寺

最御崎寺 山門
多宝塔
本堂

ここまで来れば室戸岬は目の前です。しかし、まずは納経所の時間も迫っているので24番最御崎寺の参詣を済ます事にして、室戸岬は通過。その先にある登り道に入り、上がりきった所にあるのが24番札所の最御崎寺(ほつみさきじ)。先ほどの御厨人窟の裏山の山頂あたりになるようで、まさに室戸は空海の悟りの地です。
何時もの手順通りの参詣を済ませ、納経帳へ24個目の御朱印を頂いて高知県のまず最初の札所をクリヤーしました。

室戸岬灯台

鉄製の室戸岬灯台

山門を出て少し崎の方に行くと、標高140mに立つ室戸岬灯台に出ます。この灯台は鉄製で、灯台のレンズは日本最大級の大きさを誇り、その光は50Km程先まで届きます。真っ青な海をバックに見る真っ白な室戸岬灯台は綺麗です。

塗り直ししたばかりなのか、真っ白で綺麗です
この真下あたりに中岡慎太郎像が立っている
土佐湾

車に戻って下る前に、この先に展望台があるようなので宿泊場所として使えるかも?と思い行ってみました。5分ほどで展望台に到着しました。駐車場はガラ空きで、トイレもあります。残念ながらウォシュレット付きではありませんでしたが、今夜の寝場所としては上出来です。寝場所は確保したので、先ほど通り過ぎた室戸岬まで戻ります。

室戸岬 中岡慎太郎像

中岡慎太郎像。桂浜方向は向いていない。

道路の横には坂本龍馬と共に京都の近江屋で殺されてしまった中岡慎太郎の像が立っています。以前、桂浜の坂本龍馬像と、室戸岬の中岡慎太郎像はお互いに向かい合って立っていると聞いた事がありますが、実際にはそんな事はないようです。
桂浜の坂本龍馬と向かい合うには北西を向いていなければならないのに、中岡慎太郎は南を向いていました。

灌頂ヶ浜

寝場所は確保しましたが、出来れば風呂も入りたいところ。まずは夜のアルコールとツマミを買い、そこで何処か食事出来る所はないかと聞いてみました。少し先に行けばあるようです。
そろそろ夕飯も少しは豪華な食事にしたいものです。

花月のキンメ丼

何気なく入った店だったけど、大正解でした

言われた所に行ってみたら、残念な事に定休日。でもその隣にある店は開いているようです。狭いながらも駐車場があり、早速入ってみました。空席は無いようでしたが、店内にいた若い人が、相席でも良かったらと言ってくれて、何とか席に着く事が出来ました。
この店は、四国遍路する人達には知られた店のようです。店の名前も洒落ていていかにも高級そうな「料亭花月」。
殆どの人が注文するのが「キンメ丼」なのだそうで、相席の人もこれを頼んだのだとか。
これはキンメ鯛の照り焼き&刺身の載った丼、金目鯛の吸い物、金目鯛の出汁、室戸産の御飯。これまで金目鯛を美味しいと思ったことは無かったのですが、これは旨かった!
金目鯛がこんなに美味しいとは! 驚きでした。

キンメの刺身と照り焼きが乗った丼です。最後はキンメのだし汁で出汁茶漬け
キンメの一切れが大きい!

目的の店が休みだったおかげで、逆に良い店に入ることが出来ました。これも御大師様の御利益か?
室戸港にある店で、もしこれからこちら方面に行かれる方が居たら絶対この「花月」のキンメ丼オススメです。
相席の若い人も車遍路をしているようで、話をしていたら清水には毎年行くとのことで、河岸の市のマグロの話とか、土産に買っていった黒はんぺんの評判とか、いろいろ話も弾みました。何処かに風呂はないか?と聞いた所、自分の使っているアプリでは検索に引っかかってこない洒落た日帰り湯を教えてくれました。室戸岬の東側になるので、少し戻る事になりますが、距離的には僅かです。
このお兄さんも車中泊のようでしたが、今夜は自分の止まる予定地の近くにあるシャワー付きオートキャンプ場のようでした。

シーレストむろと

洒落た建物です

店を出て再び東に向かい、室戸岬を通り越して少し行くと教えて貰った「シーレストむろと」がありました。海洋深層水を使ったプールや風呂の設備があるようで、建物も洒落ています。
風呂に入ってノンビリしているうちに、暗くなってきました。そろそろ寝場所にいってもよさそうです。きょうは随分長距離と走ったから、早く寝場所に行って寝ようと、再び最御崎寺への坂道を登って、下見しておいた展望台の駐車場に到着です。

室戸スカイライン山頂展望台で車中泊

室戸岬一帯の空撮写真(GoogleMap)

車は一台もなく、自分一人のようです。混んでいるのも嫌ですが、こんな山の上でたった一人も不安になります。でも、そんなこと言っていたら何処でも車中泊なんて出来ません。
窓にウィンドシェードをセットして、ベッド周りを片付け、一人宴会の準備です。
明日の晩は高知市内になります。土曜日でもあるので宿の予約をとってノンビリ寝た方が良いだろうと、楽天トラベルで宿の予約をしようと思ったら、翌日の土曜日の予約を前日の夜取ろうとしても思ったような良い宿が空いていませんでした。どんな所か分かりませんが、「はりやま橋」まで歩いて行けるところに宿を取ることが出来ました。
3日目で高知県に入る事が出来ました。でも、まだ札所の数では今回予定している53ヶ所の半分も来ていません。
四国は思っていた以上に広いです。

 

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