四国遍路6日目 39番 延光寺 〜47番 八坂寺

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高知から愛媛へ

四国八十八ヶ所には県ごとに名前が付いていて、 徳島県は発心の道場
発心は仏教用語で「悟りを求める心を起こすこと」とあります。
高知県は修行の道場
太平洋の海岸線をいく道程は札所と札所の距離が長く、まさに修行と呼べるのかもしれません。
愛媛県は菩提の道場
菩提とは煩悩を断ち切り、悟りの境地に達すること。発心、修行を経てたどり着いた地は八十八ヶ所の折り返しにあたります。
そして香川県は涅槃の道場
遍路で最後に訪れるのは弘法大師が生まれた香川県。長い道のりを超えてたどりついた先には煩悩から解脱した高い精神境地を表す涅槃の道場がひろがります。

となっているのですが、88番に辿り着けば自分にも高い精神境地を表す涅槃の道場が広がるのでしょうか。
先に進むに従い、煩悩から解放されるようですが、自分の遍路旅ではとてもそんな境地に達する事は無さそうです。というか、煩悩のない人生は何ともつまらなそうです。

明後日の早朝には広島県の呉港へのフェリーで四国を離れるので、それまでに松山周辺までは廻っておきたいところです。
そこまではクリヤーしておかないと、次回のスタートが厄介なことになってしまいます。
道の駅「すくも」でゴミは棄てて、出勤してきた昨日のおねえさんに挨拶して、まずは、高知県でまだ一ヶ所だけ残っている39番延光寺に向かいます。

39番 延光寺

延光寺山門

延光寺へは昨日の道を10Kmほど戻る事になります。朝のラッシュ時でも、それほどの混雑もなく20分ほどで到着しました。納経所が開くにはまだ時間があります。それまでの時間、他にすることもないので、いつものように今日一日分の納札へ書くべき事を記入して時間を潰します。一ヶ所2枚ですから、20枚も書いておけば今日の分は足りるでしょう。
そんなことしているうちに納経所の開く時間です。本堂と大師堂でいつものようにお参りして39ヶ所目の御朱印を頂きました。

愛媛県に入る

今まで四国の地図をしっかり見たこと無かったのですが、よく見ると愛媛県は海沿いに随分南のほうまで伸びていて、狭いと思っていた愛媛県が思っていた以上に広い事に初めて気がつきました。そして高知県の大きさにも驚きです。

40番 観自在寺

大きくはないけど、立派な山門です。
本堂は鉄筋コンクリート造り

延光寺から愛媛県最初の札所、観自在寺までは30Kmほど。左手に綺麗な入江を見ながら北に向かいます。この海の向こう側は大分県ですから、思えば随分遠くに来たものです。
40分ほどで観自在寺に到着です。
一番札所の霊山寺からは一番距離が離れている「四国の裏関所」と呼ばれる観自在寺です。

41番 龍光寺

木造の歴史を感じる本堂。やはり寺は木造がいい!

観自在寺から龍光寺までは少し離れているので、1時間ほど掛かってようやく龍光寺到着です。
住宅に囲まれた細い一本道が真っ直ぐに山門まで続いています。境内に入ったら、団体のお遍路さん一行で、先達さんがいろいろ説明をしていました。
自分の読経は般若心経を一度唱えるだけですが、こうした人達の経は何種類もあるようで、随分長い間お経を唱えていました。団体さんの御朱印は引率の人が纏めて預かっているので、参詣中に御朱印は出来上がっています。納経所へ行くと、個人のものを優先して書いてくれるので、団体さんと鉢合わせしてもそれ程待たされることもありません。あれだけの数を書き上げるまで待つのでは一ヶ所でどれほど時間が掛かってしまうのかと考えると、納経所のこうした配慮は有り難い事です。
不思議なもので、境内の堂宇など記憶にはないのですが、GoogleマップのStreetビューで駐車場から境内までの参道を見ると記憶が蘇ってきます。建物より参道の方が記憶には残りやすいのかもしれません。参道の景色は札所毎に違いますが、境内の様子は皆同じような物。なかなか記憶には留まり難いもののようです。

42番 仏木寺

仏木寺山門
本堂と大師堂

龍光寺から仏木寺までは数分で到着。道路脇に立派な山門が建っています。
四国八十八ヶ所では珍しい茅葺き屋根の鐘楼があり、これは元禄時代に再検されたと伝わります。
龍光寺で一緒になった団体さんが来る前に参詣を済ませ、早々に退散した方が良さそうです。

43番 明石寺

モミジの参道
山門も風格があります
本堂

いよいよ記憶も曖昧になって来ました。改めて写真を見直して、どのような所だったのか?と記憶を取り戻しながらの道中記になって来ました。
しかし、この明石寺の記憶は残っていました。と、言うのも、一番札所の霊山寺で買い求めた線香がなくなりかけていたので、駐車場横にあったお遍路グッズを扱っている店で追加で線香を買った、というたったそれだけの事なのですが、他の札所とは違う僅かな事があっただけで記憶に留まって呉れるようです。

人の生き方も同じなのでしょう。毎日何も考えずにボーッとしていたら記憶に残るわけもありません。毎日が記憶に残るような一日一日を送って過ごしたいものです。
駐車場から、幅の広い綺麗な石段が境内まで続いています。傾斜が緩い事が有り難いです.石段の周りは新緑のモミジですから、秋には綺麗に色付いて華やかな参道になるのでしょう。

44番 大寶寺

大寶寺山門。迫力ある山門で、大ワラジが目を引きます

明石寺から次の大寶寺かなりの距離があり、約94Km 時間も2時間以上掛かってしまうようです。地図上ではそれ程離れているようには見えないのですが、四国は想像していた以上に広いです。
結局、途中でコンビニ弁当食べたりしたため予定以上に時間がかかってしまい、2時間半掛けてようやく大寶寺駐車場に到着しました。
バスで来た団体さんと一緒になりました。山門までは坂をづっと上がっていかなくてはならないので、久々の長い坂道が脚に堪えました。それにしても団体さんは自分より高齢な方達のようですがこの人達にやっとついて行く、というくらいに皆さん元気です。
やはり四国遍路は体力が一番。これなくして結願はありえません。

山門からの最後の石段

大木で鬱蒼とした参道をあがり、迫力ある仁王門に辿り着きました。ワラジが掛かっている仁王門はよく見かけますが、ここのワラジの大きさは半端ない大きさです。信者から寄贈されたものといいます。
山門を潜ると上の方に本堂が見えてきましたが、ここまでの登りでかなりガタが来た脚には堪えます。
四国霊場八十八ヶ所のちょうど半分に当たり「中札所」といわれます。
四国山地に囲まれた標高579mに位置し、境内は老樹が林立し、幽寂な空気が漂よいます。
と言いたいところなのですが、団体さんが賑やかで幽寂な空気とはほど遠い境内でした。

45番 岩屋寺

境内までは800mの山登りです
石仏群

44番大寶寺からは11Km。15分ほどで到着しました。まだ2時半前ですからこのペースで行けば松山市内には余裕で行けそうです。しかし、今日の風呂も寝場所もまだ何も検討していません。
まずは岩屋寺、浄瑠璃寺、八坂寺の3ヶ所を廻ってから松山市内に入ります。
岩屋寺には下の駐車場から800m程の山登りをしなければ辿り着けないようで、八十八ヶ所の中でも、難所と言われる札所となっています。20分から30分も歩けば境内に着くようですが、先ほどの大寶寺の上り下りからまだそれ程時間も経っていませんから、またまたの山登りにはいささかメゲます。
でも、自分より歳上の女性がスタスタと登っていくのを見ると、そうそうグチっている訳にもいきません。
所々にある地図を見てもそうそう簡単には辿り着けないようです。
本堂までには石段だけでも220段あるといいますから、やはり難所の一つなのでしょう。

岩壁に埋まり込んだ本堂
岩山は簡単に削れてしまいそうな岩盤

汗まみれになって、やっと本堂前に到着です。寺号の通り、岩山の岩壁をバックにしたまさに岩屋です。これは坂東巡礼で行った大谷寺にも似た雰囲気です。
45個目の御朱印を頂き駐車場のトイレに急ぎます。登り始めた時に、トイレが故障していて使えない、との張り紙がありました。でも登り始めてから、それはないだろ!
急ぎ足で下山し、スッキリして次の浄瑠璃寺に向かいます。浄瑠璃寺まではここから34Km。1時間近く掛かってしまいそうです。大寶寺に向かう為に走ってきた久万高原の道路を戻り、いよいよ松山市内に入りました。

46番 浄瑠璃寺

やっと到着した浄瑠璃寺でしたが、これが何も特徴の無い寺で、写真一枚取ってありませんでした。

47番 八坂寺

八重桜も咲いて綺麗な境内です
参詣舎を向かえる空海
ボタンが満開でした

八坂寺は浄瑠璃寺のすぐ近くにありました。
ナビの設定が細道回避にしてあるからなのか、寺の裏に広がる広大な霊園を迂回して到着です。
それにしても広い霊園です。一体何基の墓石が立っているのか。
この道中記を書いている時点で既に1ヶ月が過ぎています。ところどころ途中の景色の記憶は残っていても、境内に入ってからの映像はほぼ消えかかっています。
そうした中でも何か特徴のあるところは何とか記憶に留まっています。ただ、7日間で53ヶ所ともなると、一つ一つの記憶はどうしても薄れがちです。
これで今日の遍路は打ち止めにして、今日の風呂に行きます。松山市内の「たかのこの湯」。変わった名前で、どういう事かと思ったら、この辺りの地名「鷹の子」から来ているようです。道後温泉の数キロ南に位置しているくらいですから、当然お湯は天然温泉のようです。何とも分かり難い道を進んでようやく見つけました。

たかのこの湯

駐車場はかなり広いです。入浴用の袋に着替えなどを入れてさっそく入館。
四国に来て 1日目 道の駅「どなり」温水シャワー    泊:道の駅「どなり」
2日目 徳島市内の「八万温泉」 泊:徳島市内「眉山山頂展望台駐車場」
3日目 室戸の「シレスト室戸」泊:室戸岬「室戸スカイライン展望台駐車場」
4日目 高知市内の旅館泊:車中泊より酷い旅館だった
5日目 四万十市の「四万十いやしの湯」泊:宿毛 道の駅「すくも」
6日目 松山市内 「たかのこの湯」泊:「松山自動車道伊予灘サービスエリア」

毎日、風呂に入って、食事しながら、その日の宿泊場所を探すことになります。10年前に較べれば道の駅の数はかなり増えているし、そこでの車中泊も珍しいものでは無くなってきているので、宿泊場所探しも随分と楽になりました。

松山自動車道 伊予灘SA

伊予灘サービスエリア
サービスエリア内の「恋人の聖地」モニュメント。向こうに伊予灘が見えています。

松山の近くには風呂はあるものの、道の駅は無いようです。しかたないので、一度松山自動車道の下り線にのり、すぐの所にある「伊予灘サービスエリア」での車中泊にしました。ここなら、明朝最初に行く、48番
正林寺までも都合が良さそうです。本土のサービスエリアやパーキングエリアは車中泊の車やトラックでほぼ満車になるのに、四国では空いていてガラガラ状態です。
途中のコンビニで仕入れてきた日本酒1合で今日も一人慰労反省会。10年前なら、パソコンへ写真を取り込んだり、メール送ったり、夜もやることが多く忙しかったのですが、この歳になるとそんな事をする気力がありません。
ただ呑んで寝るだけです。
明日は6ヶ所廻るだけなので、松山の観光も少しは出来そうです。

 

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