昨年に続き本格的な発酵による柴漬け作り
もう半世紀も前の二十歳の頃、京都大原・三千院の参道で木の樽に入った柴漬けを量り売りしていました。その当時の参道は舗装されていなかったように記憶していますが、実際はどうだったのか?
半世紀も前の記憶ですから覚えているのはその量り売りで売られていた柴漬けを土産に買い求めた事くらいしか覚えていません。
帰ってきてこの柴漬けを食べてみたところ「旨い!」
その後ずっとあの味の柴漬けを食べてみたいと探しても地元のスーパーで売られているのは梅酢で漬け込んだ「柴漬けもどき」しかありませんでした。
そんな事もすでに忘れてしまっていましたが、昨年ネット上で「発酵させて作る本格的柴漬け」の記事を見つけました。
これによればあの大原で買った柴漬けは赤紫蘇となすの持つ酵素による発酵を利用した漬物のようでした。
読んでみたら、思っていたより簡単でこれなら自分にも出来そうです。
早速、家の前の家庭菜園で収穫したナスやキュウリを使って作ろうとしたところ、家の前に生えている赤紫蘇には全く赤紫蘇の香りが無い事が判明。
調べてみたら、どうやら畑で前年の種が落ちて生えたものは2,3年これを繰り返すと香りは消えてしまうのだとか。
しかし、店で買ってきたものも同じように香りは無く、他に赤紫蘇がある訳でもないので、仕方なしこれでやってみました。
結果は
そこそこの柴漬けが出来ましたが、キュウリやナスがぺしゃんこになってしまいました。これは薄く切りすぎたと思いましたが、実際はそうではなく原因は他にありました。真相は後ほど。
それでもそれなりに食べられる柴漬けでした。
1年経ち
赤紫蘇の種まきからスタート
今年は赤紫蘇の種まきから始めました。やはり柴漬けは赤紫蘇にそれなりの香りがなければなりません。
種を買ってきてポットに蒔いてみましたがどうやら赤紫蘇の発芽率はかなり低いらしく、旨く発芽させるにはちょっとしたコツがあるようです。
まず、4月にはいり暖かくなってから種まきする。発芽温度は20〜25度となっていましたから、3月では気温が低すぎて無理かもしれません。
被せる土は2,3mmで、種に光が届くくらいに浅くする。
赤紫蘇の発芽には光も必要なようです。
光が届くほど浅蒔きですから、表面はすぐに乾いてしまいます。しかし発芽させるには乾燥は厳禁のようでした。
表面に何かを被せておくしかなく、それも光を通す物で無いと.......
不織布が残っていたので、それを被せておき、毎日水かけをしていたら、見事に全てのポットから赤紫蘇の芽が出てきました。
発芽率はほぼ100%!
ある程度伸びたところでこれを定植。
それでも一度殺虫剤を散布したらその後は順調に成長してくれました。
この時期キュウリは十分に取れています。ところが肝心なナスがなかなか纏まって収穫という時期にはなっていませんでした。
買ってこようか、とも思いましたが家にある物を買うのも悔しいです。
幾日か分を溜め込み、且つ近所から数本頂き、何とか材料が揃ったところで柴漬け作りを始めました。
材料は揃ったので柴漬けの漬け込み
キュウリ :1500g
ナス : 800g
赤紫蘇 : 400g
ミョウガ : 160g
塩 : 143g(野菜重量の5%)
今回は昨年の倍の量でやってみました。ネットで見つけた作り方の量がこの量で、昨年はお試しと言う事で半分の量でのテストでした。
赤紫蘇はざっと洗い水を切る。
キュウリ、ナスは縦半割にした物を厚さ5,6mmに切る。
ミョウガは縦に2つ割。
これを全部一纏めにして大きな器に入れて混ぜ、これに塩を全量振りかけてしっかり混ぜて揉む。
漬物容器に入りきれないと思いましたが、10分も揉んでいると柔らかくなり、体積もかなり減ってきました。
ここで、出てきた黒く濁った水は捨ててこれを漬物容器に入れて圧を掛けます。この情報がネット上でもいろいろなのですが、自分が参考にしたサイトの「野菜重量と同じくらいの重み」にしました。というかしたつもりでした。
この漬物の一番の失敗は発酵が始まる前にカビに遣られてしまう事のようです。
カビに負けないうちに発酵を一気に進ませる必要があり、その為に家の中で一番暖かい場所が置くのがいいようで、そのような事からクーラーを働かせるような所は避けた方が良さそうです。
納豆を食べた時には納豆菌が浮遊している可能性もあるので、漬け込み作業は暫く換気してからの方がいいだろう、との事でした。
4,5回塩水の交換をする
野菜重量と同じくらいの重しを掛け(と思っていたが....)、このまま一日おくと黒みを帯びた灰汁の出た水が上がっています。
最初の水は全部捨てた方が良いだろうと、勝手に判断し、思いっきり漬物容器の押さえを最大にして圧を掛け、水を絞りきりました。
最初に出た野菜の水分は完全に絞りきるのが美味しい柴漬けをつくる為には大事な事のようです。これは多分灰汁を抜く事が大事と言う事なのでしょう。
この時出てきた水を計量しておいて、これと同量の4%の食塩水を補給します。この塩分濃度は漬け込み時の5%ではなく4%ですので間違えないように!
この塩水も念のために一度沸騰させて冷まして殺菌したものを使っています。
一応野菜の水分は出たので、掛ける重しは軽くした方が良いのか?
この辺りの事はよく分からないので、逆に思いっきり圧を掛けてみました。
実際には一杯締め込んでもせいぜい2,3Kgと思っていたらこれが大きな勘違いと分かるのはこの数日後。
毎日塩水の交換をしていくと水も澄んできて、発酵による酸味が出てくると鮮やかな赤い色になってきました。
3日も経つと発酵も始まったのか、酸味を感じるようになります。
塩水の交換は4回で止め、2,3日そのままでおき、試食してみたら、まだ何となく発酵が足りないのか、酸味が薄く感じます。
完成。あとは冷蔵庫で保存熟成
結局最終的には11日後に満足のいく酸味になったので、容器から取り出してジップロックのフリザーバックに詰め替え冷蔵庫で保存。
そのまま食べても丁度良い酸っぱさで、美味しいですが、本当は1月ほど熟成させた方が美味しくなるようです。
しかし、重しが重すぎて、キュウリもナスもペチャンコ。
やはり、水が澄んできたら、その時点で重りは軽くした方が良さそうです。
使っていた漬物容器はスプリングで押さえるような構造ですが、どの程度の強さなのか確認してみたら1cm縮むと1Kg程でした。野菜の重さと同じ重り、となっていましたから3cm(3Kg)も掛かっていれば十分だった事になります。
この辺りの事は事前に確認しておくべきでした。
最後まで6Kg程の圧を掛けていた事になり、これではキュウリも薄くなるはずでした。
これは見た目の姿でしかありませんから、食べる分にはあまり関係なさそうです。
もう一度トライ
今年の赤紫蘇は香りも十分だった事が旨く出来た要因だったと思いますが、この赤紫蘇がまだまだ残っていて、僅かに1割程度使っただけです。
そこで、キュウリもナスもまだまだこれからも採れ続けるので、再度挑戦中です。
今回は2日目から、圧は2Kg程度に抑えてあるので、初回とは違った柴漬けになるのかもしれません。
それにしても、我が家で採れた材料だけで、こんなに美味しい柴漬けが出来てしまうとは!