いよいよ熱海峠を越えて伊豆東海岸へ出る
8月に函南駅まで進んだ伊豆遍路旅もいよいよ最大の難関、熱海峠越えです。峠までの登り坂は11Km、最大標高は735mと、数字を見ただけでビビってしまいそうです。
清水では名を知られる浜石岳でもその標高は706.8mですから、11Kmの斜面を歩いて浜石岳に登る感じです。11kmの平均勾配は5.3%
これはかなり気合いを入れて掛からないと酷い目に遭いそうです。おまけに途中でギブアップしたとしても公共交通機関がありませんから、残るは手段はタクシーだけになります。
しかし、この最後の頼みの綱のタクシーも、携帯は圏外(現地に行って判った)なので呼ぶ術も無い状況です。
結局、函南駅をスタートしたら熱海まで行くしか無いと言う事のようです。
7:30 函南駅をスタート
当初の予定では県道11号線(熱海函南線)に出て、そこから上がっていく予定でいました。しかし駅から11号線に出るには2Km 程戻らなければなりません。
駅の向かい側の斜面に送水管があり、その横にかなり急な石段があるのを前回確認してありました。
しかし、この石段は通れるのかどうか?下側には柵も何もありませんでしたが、上の方はどうなっているのか。上まで行ってダメだったでは敵いません。
そこで、駅前にある交番で聞いてみました。
朝早くまだ勤務前だった駐在さんが出てきてくれたので、聞いてみたところ、どうやらこの石段は通れないようです。11号線に出るには戻るしかないと言われ、それならば、と谷を流れる沢に沿って登る山道はどうかと聞いてみました。
ところがこの駐在さん、この道は行った事がないので分からないようです。地図も見てくれましたが、結局詳しい事は分かりませんでした。
それでも、行ってみる価値はありそうです。ダメなら、戻れば他の迂回路(舗装路)もあるようでした。
昼までに峠までとても無理だろうと、そんな話をしながらスタートです。
駅の東側で東海道線と新幹線のガード下を抜けたところで右へ入るとそこからは急坂が続きます。
ある程度の高さまで登って谷川への道を入ると、草がボウボウながらも舗装された林道がありました。
林の中を行くので暑さはなく、快適な森林ウォークになりました。しかし、所々、草を掻き分けながら進む所もあり、今にこの先で進めなくなるのでは?という不安は11号線に出るまで続きました。
それにしても涼しいです。
軽井沢
殆ど汗を搔くこともなくスタートしてから1時間半程で山道から抜けて11号線に合流しました。
そこから30分ほどで函南町の軽井沢に到着です。軽井沢とは何とも洒落た地名です。この由来については公民館前の説明看板に次のような話がありました。
猫踊り
軽井沢には「泉龍寺」があり、ここに「猫おどり発祥の地」の碑が建っていました。この猫おどりとはどのようなものなのか?調べてみたところ、猫が踊るといった話は全国にあるらしく、昭和62年に『まんが日本昔ばなし』で放送されたストーリー「ねこおどり」は秋田県の鹿渡の民話でした。
この「ねこおどり」の放送をきっかけに考案されたのが函南町の猫おどりイベントのようです。
昔からあった踊りではなく、若い人達が地域興しの為に近年始めたイベントらしく、2019年は第32回となっていました。
11:05 伊豆スカイライン熱海峠IC到着
スタートから約3時間半で熱海峠IC下に到着しました。当初予想していた時間よりかなり早いです。
しかし、ここから先の道が見つからない!!
行ったり来たりしているうちに、実際にはある道が何かで隠れてしまって見えていないのかも?とよくよく見てみると箱根竹に覆われた中に狭い山道がありました。位置もGPSで確認するとドンピシャで、どうやら探していた路はこれのようです。
行けるかどうか判りませんが、距離的には大したこと無いのでダメなら戻ってくればいい、と草とクモの巣を掻き分け進んで行ったら何とか無事、一段上にある熱海峠ICに出る事が出来ました。
ここは「姫の沢公園」の最上部になるようで、見晴台も作られていましたが、あまり視界が開けている訳でもありませんでした。
そこからは「南無日金地蔵尊」と書かれた幟が並ぶ山道を下っていきます。
23番札所 日金山 東光寺
山道を数分下っていくと今日最初の札所「東光寺」に到着です。
住職がいない無住のお寺との事だったのですが、運が良かったのか、ご住職さんに会えて御朱印も頂けました。
本尊は頼朝建立と伝わる「延命地蔵菩薩」。伊豆地方の死者の霊魂はこの日金山に集まるといわれていて、お彼岸にお参りすると知り合いの後姿を見つけることができるんだとか。
境内にある石仏はビッシリと苔に覆われていて、何とも雰囲気の漂う石仏群です。
山の高いところと言う事で、霧が発生しやすい土地なのでしょうか。
願い事を一つだけ願い鐘を撞くと願いが叶うと言われたので、遠慮無しに撞いてきました。
時間も昼飯時なので、ここで食べて下山することにし、永代供養廟の前で昼食です。
流石にこれだけ歩いて来ると昼飯のコンビニおにぎりも旨い!!
自分達は歩いて来たので問題はありませんでしたが、車での東光寺へのアクセスはかなり厄介です。
境内まで車で行けない事はありませんが、道路はかなり狭く、車一台がやっと。それに舗装されているとは言え、落ち葉が多く、帰りの登り坂は滑って上がれない事も十分考えられます。
一番は十国峠のケーブルカーで上まで行き、そこから山道を下ってくるのが良さそうです。
それにしても、このお寺、檀家さんはあるのでしょうか。
歴史をそのまま受け入れるのなら、起原は卑弥呼の時代にまで遡ってしまいます。そんな古代は別としても、明治以降、車の通れる道も無かった時代、山道をここまで登って来たのでしょうか。
函南からの道に較べると熱海側の山道はかなり急傾斜でした。
12:23 石仏の道を下る
昼飯が済んだら熱海に向かって下山です。
今日はもう1寺寄っていく札所がありますが、それは熱海市街地に入ってからの話。暫くは急傾斜の山道を下ります。
東光寺からの山道は「石仏の道」と呼ばれ、下山途中の沿道では沢山の石仏を見る事が出来ました。東光寺から続く町石は見事で、上部は石仏になっています。これが欠ける事なく1町(109m)毎に並んでいるのはお見事!
しかし、下りの路は膝に堪えます。膝を傷めないように注意しながら下りますが、今にもグキっていってしまいそう。
途中で視界が開け、沖には初島、眼下には錦ヶ浦の上に熱海城が見えていました。
13:30 山道から舗装路へ出た!
急な山道からようやく舗装路へ出ました。もう登りは無いだろうと思っていたのに、その先にも急な登りや下り坂があり、もう膝は悲鳴を挙げっぱなし。
MOA美術館の入り口でミスコースし、一旦戻って登り直しです。ここまで来てからの登り坂は堪えます。MOA美術館までの急坂を登り切れば後は下り。もう最後まで登り坂は無いはず(でした?)
下りにはなったものの、相変わらずの急坂です。膝も腿もふくらはぎも皆ーーんな痛い!
24番札所 走湯山 般若院
苦労しながら今日2時目の24番札所 般若院へ到着です。
しかし、到着したものの、何処で御朱印を頂けるのか?
ガイドでは本堂左の庫裡となっているのですが、自分達のいる本堂の左にはそんなもの見当たりません。
方向が逆なら、多分裏手からなのだろうと、本堂裏へいく通路を探しますが、なかなか見つかりません。一旦道路近くまで戻ると、立派な道路が寺の方に上がって行っていました。
これを上がっていくとようやく庫裡の玄関がありました。
これはどう見てもガイドの書き方が悪い!
一番立派な参道は本堂の裏に出る路だったのです。今日は自分達以外にも参詣に見えた人が居たらしく、その人も同じような事を言っていたとの事でした。
般若院は真言宗の古刹で伊豆山神社(伊豆山権現)の別当坊だった寺院で、源頼朝はこの寺で平家討伐の願をかけたと伝わります。
この寺は真言宗伊豆派の本山として権力を誇っていた時代もあった名刹で、源頼朝・北条政子も一時住んでいました。
走湯山の山号をもつためか、境内入り口には足湯もありました。
熱海駅ゴール!
さて、ゴールの熱海駅に向かいます。少し進むとまたまた登りの急坂。ここまで来て、こんな急な坂が待ち構えていようとは!!
少しで済むだろうと思っていたら、これが結構の距離続きました。
足が痛くて、登りでも下りでもどちらも同じようなもの。
観光客でごった返す熱海駅にようやく到着です。
それにしても観光客が多い。三連休の初日と言う事もあるのでしょう。
しかし、こんな五月蠅いだけの落ち着きの無い熱海の何処がいいのか?
原駅で下車 日帰り湯ザブーン
今回も前回寄った原駅近くの日帰り湯「ザブーン」に寄ってきました。流石に今回は歩いて行く気にはなれず、駅からタクシー利用です。初乗り運賃内で着ける場所なので一人にすれば安いもの。
温泉でノンビリと風呂に入り、サッパリしたところでビールで乾杯!
ずっと気重になっていた熱海峠を越える事が出来、取りあえずは一段落です。