伊豆88遍路 第2回

第2回目は大仁駅〜田京駅

3月にスタートした「伊豆88遍路」も本気で掛からないと、生きているうちに満願寺となる修禅寺まで辿り着けるかどうかわかりません。
そんな危機感も持ち、4月7日、2回目の歩き遍路に出掛けました。
前回と同じように三島まではJRで行き、そこからは修善寺線で大仁まで行きます。

スタートは大仁駅 ゴールは田京駅(クリックで拡大表示されます)
距離と標高グラフ

今日の歩行距離はおおよそ22Km。それもかなりの部分は山道を歩く事になるので体力的には大変そうです。
標高グラフを見るとピークが二つあり、これは峠越えが2カ所ある事になります。標高は大したことありませんが、一度下ってから再度登る事になりますから、これは体に堪えそうです。

8:20am 大仁駅をスタートしました。
狩野川を渡り、サクラの咲く静かな里を仲間4人でノンビリ歩きます。
20代、30代の頃、70歳近くなった仲間同士で伊豆の山中を歩く姿なんて誰が想像したでしょう。

正面に城山の岸壁
狩野川


歩ける体力と気力があると言う事だけでも貴重な財産なのだと感謝!
それと、もう一つ大事な事で感謝すべきは、そのような時間を持てる事!!ですね。

7番札所 泉龍寺

ようやく今日最初の寺に到着

大仁駅から1時間チョット歩き、9:27am 今日最初のお寺、7番札所の「泉龍寺」に到着しました。
大きなお寺ではありませんが、なかなか風情のあるお寺です。

元々は別の地にあった真言宗の寺であったようです。
しかし洪水被害によりこの地に越してきており、その頃に真言宗から曹道宗に改宗したようです。
御朱印も無事に頂け、ようやく88箇所霊場3つ目の御朱印が揃いました。

このお寺の境内には釈迦の涅槃像があるようなので、境内を探してみました。

寝釈迦仏

寝釈迦仏
仏足
説明では「寝釈迦仏」とされています。境内の端に「釈迦堂」があり、そこに「お釈迦さん」が寝ていました。
別に昼寝をしている訳ではなく、これはよくある釈迦の臨終の場面を現した「釈迦涅槃像」なのでしょう。

釈迦は臨終の時、頭を北に向けていた筈。しかし、この「寝釈迦仏」は北枕ならぬ南枕になっていました。

泉龍寺を辞して、次の金剛寺に向かいます。
歩く道路脇に学校跡を示す碑がありました。江戸時代の寺子屋の頃からこの辺りは教育熱心な地域だったようです。

分教場跡の見事なサクラ

金剛寺近くまで来ると、川の向こうに姿の整った満開の桜の木がありました。説明看板もあるので目をこらして見てみると、ここもかつての分教場跡だったようです。
この桜の先で左の小径に入り少し坂を上がっていくと、右手にお寺らしき建物がありました。どうやらここが金剛寺のようです。

6番札所 金剛寺

かなり荒れてしまっています
仏像は良い物があるらしいです

金剛寺は檀家を持たない無住の寺で現在御朱印もここで貰う事は出来ません。金剛寺の御朱印は松崎まで行った時に、纏めて代行してくれている寺で貰うしかないようです。
本堂の中には文化財としても貴重な価値のある仏像が安置されているらしく、中を覗いてみると小さな仏像が何体か並んでいます。どのようなものなのかは、薄暗くよく分かりませんでした。
しかし、檀家の無いお寺はどうしてこれまで維持管理されてきたのでしょう。この地に住む人達の共有の財産だったのでしょうか。

子神社

お寺は簡単な建物でしたが、その隣にある「子神社」は立派な石段の参道を持つ神社で境内も綺麗に手入れされていました。

子神社の大杉
上まで登る元気は有りませんでした
入り口には大きな杉の木が立ち、鳥居には立派な注連縄が吊り下げられていました。どういった神社なのかよく分かりませんが、主祭神は大国主命を祀っているようです。

なかなか御朱印も増えていきません。

いよいよ山登りの開始

金剛寺を出て十数分。いよいよ本格的な峠越えの道に入ります。
車も通る事の出来る農道で、最初からかなりの急勾配が続きます。これまでは汗知らずで来ましたが、ここで一気に汗が噴き出しました。


途中、休憩を挟みながら少しづつ登っていきます。登り切ると道はほぼ平ら。予定のコースはかなり遠回りになりますが、地図を見るとショートカット出来そうな山道があるようです。

道が無い!

こちらを選択し、近道に入りました。しかし暫く行くとある筈の分岐道がみつかりません。その辺をうろうろしていたら仕事をしていた叔父さんが教えてくれました。
どうやら、すぐ上に草に隠れた山道があるようで、100m程行ったら右折しろとの事。
言われたように上に上がるとそれなりの道らしきものがあります。そこを進んでいくと、右への分岐があり、あとはこの山道を下るだけ。

道はかなり荒れていてあちこちで水を涌いています。山道の廻りは至るところでイノシシの掘った痕跡があり、一人で歩くのはちょっと怖いです。
暫く下っていくと、11:26am ようやく舗装路に出ました。

雄飛の瀧

もう少し水量があれば!

この道路は登っていくと峠を越えて三津に抜けているようです。今回自分達が進むのは登りではなく下り。
すぐの所に「雄飛の瀧」がありました。
この「飛」の字には「氵(さんずい)」が付いていますが、こんな字は出てきません。

「雄飛の瀧」は柱状節理の磐の隙間を流れ落ちる滝で、水量がもう少しあったならもう少し見応えもあったのでしょうが如何せん水量が少なすぎました。

昼飯だ!

時間も昼飯時。ここで昼食にしました。
この先から2つめの峠越になります。
地図で見ても益山寺までほぼ真っ直ぐに登っていく直登路のように見えますからかなりの急坂なのでしょう。

十分?な休憩をとってスタートです。

最後の登り道

ここからが今日一の難所

10分も下らないうちに益山寺への分岐点に来ました。
益山寺まで800m、いよいよここからが今日最大の難所です。

実際に登り出すとかなりの急坂です。益山寺参道の脇には「西国三十三カ所霊場」の観音像が並んでいました。33体全てがあったのかどうか、確認はしませんでしたが、風化具合からみるとかなり古いもののようです。
ただ、掘られている西国霊場の各寺号と石に彫られた観音像の姿が少し違うような.....。

[wc_column size=”one-third” position=”first”]
六波羅蜜寺(十一面観音)
[/su_column] [wc_column size=”one-third”]
穴太寺(聖観音)
[/su_column] [wc_column size=”one-third” position=”last”]
善峯寺(十一面千手観音)
[/su_column]
[wc_column size=”one-third” position=”first”]
総持寺(千手千眼観音)
[/su_column] [wc_column size=”one-third”]
勝尾寺(十一面千手観音)
[/su_column] [wc_column size=”one-third” position=”last”]
中山寺(十一面観音)
[/su_column]

分岐点から30分ちかく掛かって益山寺に到着です。
ここまでの標高差は142mでしたから、1分に標高+5.5m のペース。決して早いペースではありませんが、そうかといって遅くもありません。急登という事と、年齢を考えたらそこそこのペースです。
おじぃさん達、頑張ってます!

8番札所 益山寺


やっとの思いで辿り着いた益山寺の石段を上がると、左には大銀杏、右には大楓。かなりの巨木で、推定樹齢860年という大楓は市の天然記念物に指定されています。
事前に調べたところ、益山寺は参詣する場合、事前に連絡をするようにとの注意書きがあったので、スタートした直後に電話をしておきました。
ところが、今日は葬式の手伝いに行かなくてはならないので留守になるとの事で、残念ながら此処もまた御朱印は頂けませんでした。

この寺は伊豆88では珍しい真言宗の寺で、弘法大師の創建と伝わる1200年の歴史を持つ古刹です。

大銀杏と大楓

大銀杏と大楓
伊加麻志神社(式内社)
境内の大銀杏、大楓は紅葉の時期には綺麗に色着き、その時には大勢の参詣者で賑わうとか。
本堂の裏手には神社がありました。「伊加麻志神社」とあり、「延喜式内社」となっています。この山頂の神社が式内社とは!

下山

さて、ここからは下山です。
12:35 下山開始。
と、思ったら最初は稜線を横に行くだけでなかなか標高が落ちて来ません。葛城山もまだ西から見ている状況ですから、狩野川まで下りきるのも簡単では無さそうです。
なかなか落ちていかない標高にウンザリしながら約1時間。ようやく舗装路に出ました。
桜が満開で花びらが風に舞って綺麗です。ここで休憩。だいぶ脚も疲れてきました。
おまけに数日前に指に出来た豆がこの頃になると痛くて、これは辛い下りになりそうです。

ようやく舗装路に出た

狩野川に出た!

狩野川土手の公園で休憩

舗装路を下る事45分。やっと狩野川まで下りきりました。
益山寺から2時間近く経とうとしています。長い下りでした。

公園のベンチで十分な休憩を取り、今日最後の寺、蔵春院に向けてスタート。蔵春院まではここからまだ4Km近くあります。

10番 蔵春院

不許葷酒入山門
ようやく今日の最終目的地
西国霊場の観音像、青岸渡寺と紀三井寺。
本堂

前回の最終で歩いた道に再び出て、歩く事1時間、15:30ようやく最終目的地、10番札所・蔵春院に到着です。

境内が賑やかだったので御朱印を頂きながら何事か?と伺ったところ、花祭りだったようです。本当は翌日の4月8日ですが、この蔵春院では毎年第一日曜と決めているようでした。
今日2つめの御朱印を頂き、境内をうろうろしていたら住職が出てきていろいろと話を聞くことができました。

吽形像
阿形像

伊豆88遍路の面白いところは、お寺の規模もそんなに大きくないので、住職との距離も短く、いろいろな話を聞けるところなのかも知れません。

住職によれば、蔵春院は伊豆で一番最初に出来た曹道宗の寺なのだそうです。最初から曹道宗で開基された寺が何故に、真言宗の寺の集まりである遍路に入っているのか?と住職も不思議そうでした。

伊豆で古い曹道宗の寺は前回廻った最勝寺、そしてこの蔵春院、もう一つは修禅寺なのだそうです。

いろいろと話を伺い、トイレも借りて、さて田京駅までの最後の歩きです。
ああーーー、足が痛い!

鉄筋コンクリート製の鐘楼門

蔵春院から25分後の16:12、今日のゴール田京駅に到着でした。

今日の総歩行時間 : 7時間52分
   総歩行距離  :  22.6Km

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です